研究概要 |
消化管粘膜上皮細胞に発現する活性酸素産生酵素Nox1 oxidaseの分子基盤と、消化管管腔細菌によるNox1 oxidaseの活性化機構を明らかにすることは、消化管固有の自然免疫応答を解明する上で極めて重要である。本研究課題では、胃粘膜上皮細胞および大腸上皮細胞におけるNox1 oxidaseの分子基盤とその活性化機構について以下のことを明らかにした。 1.胃粘膜細胞および大腸上皮細胞に発現するNox1 oxidaseシステムは、Nox1,p22-phox,Noxa1,Noxo1,およびRac1から構成される。 2.大腸上皮細胞のNox1 oxidaseの活性化は、サルモネラ菌の鞭毛蛋白質成分フラジェリン/Toll-like receptor5経路特異的に誘導され、一方、胃粘膜上皮細胞のNox1 oxidaseの活性化はヘリコバクター・ピロリ菌のLPS/Toll-like receptor4経路特異的に誘導された。 3.ヘリコバクター・ピロリ菌のLPSによる胃粘膜上皮細胞のNox1 oxidase活性化は、(1)Nox1 oxidase構成因子(Nox1とNOXO1)の転写レベルでの誘導、および、(2)Rac1の持続的な活性化の2つの経路により制御されていた。 4.interferonγはSTAT1経路を活性化し、nox1遺伝子のプロモーター領域に存在するinterferonγ応答配列(-3969から-3645)の活性化を介してNox1を誘導した。
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