研究概要 |
VK2による肝癌細胞増殖抑制機序の解析 ・VK2の肝癌細胞増殖に対する影響:VK2は濃度依存的に肝癌細胞株の増殖を抑制した。 ・アポトーシス誘導作用:VK2にアポトーシス誘導作用は見られなかった。 ・細胞周期に対する影響:VK2により肝癌細胞の細胞周期はG1期に収束し、G1 arrestを起こした。 ・CDK inhibitorsに対する影饗:VK2はp21,p27,p16の発現を蛋白、mRNAレベルで増加させた。 ・Cyclin D1の発現に対する効果:VK2は濃度依存的に肝癌細胞のCyclin D1発現およびプロモーター活性を抑制した。 ・転写因子AP-1,NF-kB活性に対する影饗:VK2はAP-1およびNF-kBのCyclin D1プロモーター結合活性を抑制した。 ・Cyclin D1プロモーター活性抑制におけるNF-kB依存性の検討:変異型AP-1結合部位を持つCyclin D1プロモーターでは野生型同様にVK2によるプロモーター活性の抑制が見られたが、変異型NF-kB結合部位を持つCyclin D1プロモーターではVK2による抑制は見られなかった。 ・肝癌細胞増殖抑制作用のNF-kB、Cyclin D1衣存性の検討:肝癌細胞にNF-kBまたはCyclin D1を強制発現させると、VK2による増殖抑制効果が消失した。 以上の結果により、VK2は肝癌細胞増殖抑制効果を有し、その機序はCDK inhibitors発現の増加、Cyclin D1発現の低下を介して発揮されることが明らかとなった。さらにCyclin D1の抑制は転写因子NF-kB抑制を介して起きていることが示された。 今後は、VK2と抗癌剤併用による抗腫瘍効果増強効果検討するともに、VK2のNF-kB抑制機構やMMP(細胞外マトリックス分解酵素)発現抑制作用について、基礎的実験を続ける予定である。
|