ベイス理論は人口知能(AI)にも応用されている意志決定システムであり、過去の事象を考慮に入れながら、新しいデータが入るに応じて確率を計算し直すことができることから、画像診断のAI化も視野に入れることが可能である。今年度の研究では肝腫瘤性病変の鑑別診断において造影超音波法で得られたさまざまな造影パターン分析よりベイズ決定を用いパターン分類(前年度に作成)が前向き研究でも有用性を示すかどうかを検討した。今回は225結節の肝腫瘍性病変を対象に造影超音波法を用いた前向き研究を行い、肝細胞癌(前癌病変、早期肝癌、進行性肝癌を含む)、'転移性肝癌、肝血管腫、その他の肝腫瘤性病変を対象に2つの時相(超音波造影剤注入後1分以内のearly-vascula pphase、90秒前後のlate vascular phase)ごとの造影パターンを抽出し、前年度に作成したベイズ決定を用いたパターン認識を前向き研究として応用したところ、肝腫瘤性病変の診断能の感度、特異性、正診率は肝細胞癌で95%、93%、93%、転移性肝癌で90%、93%、92%、肝血管腫で89%、94%、92%と良好な成績が得られた。ベイズ決定を用いたパターン認識は造影剤超音波の画像解析に有用であるばかりでなく、CT、MRIを含めた各種画像診断に幅広く応用できることから、AI化を視野に入れた新しい鑑別診断法となる可能性が高い。
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