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2004 年度 実績報告書

ヘリコバクターピロリ感染における胃発癌機構解析:Asain Paradoxの解明

研究課題

研究課題/領域番号 16590613
研究機関福井県立大学

研究代表者

加藤 卓次  福井県立大学, 看護福祉学部, 教授 (70145902)

研究分担者 東 健  神戸大学, 医学部, 教授 (60221040)
キーワードH.pylori / 胃癌 / CagA / VacA
研究概要

我々はこれまでに、H.pyloriが胃粘膜上皮細胞に接着すると、H.pyloriの病原因子CagAが、H.pyloriから胃粘膜上皮細胞内へと注入され、上皮細胞内でチロシンリン酸化を受けることを認めた。また、チロシンリン酸化されたCagAが、細胞の分化や増殖に重要な役割を担う細胞質内脱リン酸化酵素SHP-2と特異的に結合することを発見した。さらに我々は、CagAのSHP-2結合部位に東アジア株に特異的なアミノ酸配列を認め、東アジア型のCagAは、欧米型のCagAに比べSHP-2との結合が強く、東アジア型のCagAを持つH.pylori感染は、胃粘膜萎縮が強いことを認めた。一方、H.pyloriは細胞空胞化毒素(VacA)を有し、vacA遺伝子に多型性が認められ、signal sequenceにs1(さらにs1a, s1b, s1cの亜型が存在)とs2のゲノタイプが、中間領域にm1とm2のゲノタイプが認められ、vacAゲノタイプs1a/m1株でVacA毒素活性の高いものが多い。胃癌死亡率の異なる福井県と沖縄県でH.pylori株のvacA遺伝子のタイピングを行ったところ、福井株はほとんどが東アジア特有のs1c/m1で、m2株は認められなかった。一方沖縄株ではs1a/m1が78.6%、s1b/m2が16.7%、s2/m2が4.7%と欧米に似た結果であった。日本の胃癌株は全て東アジア型のs1c/m1であった。したがって、vacAゲノタイプがs1c/m1で細胞空胞化毒素活性の強い株の感染が、胃粘膜萎縮さらに胃癌の危険因子であると考えられた。今回、cagAとcagEをさらにvacAの遺伝子解析を行い、病態との関係を検討した。福井県と沖縄県の臨床分離株を用いcagA、cagE、vacAの全塩基配列を決定し、系統樹解析と病態との関係を検討したところ、消化性潰瘍株の10%(1/10)がcagA及びvacAが東アジア型を示したのに対し、慢性萎縮性胃炎の77.2%(17/22)及び胃癌(1/1)株が東アジア型を示した。したがって、東アジア型のcagA及びvacAを持つ株の感染は萎縮性胃炎、ひいては胃癌発症に関与することが示唆された。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2004

すべて 雑誌論文 (1件)

  • [雑誌論文] Diversity of vacA and cagA genes of Helicobacter pylori in Japanese children.2004

    • 著者名/発表者名
      Azuma T
    • 雑誌名

      Aliment.Pharmacol.Ther. 20(Suppl.1)

      ページ: 7-12

URL: 

公開日: 2006-07-12   更新日: 2016-04-21  

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