研究概要 |
1.我々はラミブジン耐性HBVウイルスの高感度な検出系を開発し,耐性ウイルスが治療開始前早期より存在しうることを証明した.また,本邦のHBVキャリアの大部分は自然経過で沈静化するためラミブジンの長期投与は特に若年者においては,不必要な過剰治療となる可能性がある.このためラミブジン耐性ウイルスの出現を防止し,かつ,ラミブジン中止後の再燃を減らしうる治療法が必要である.そこで,我々は,ラミブジン先行投与後インターフエロン投与に移行するsequential併用療法を多施設共同で行い,従来のインターフェロン単独治療に比し有効である可能性が示唆された(投稿準備中). 2.我々の開発したHBV-AluPCRによるB型慢性肝炎でのHBV組み込みの解析により,AXIN1,CTNND2,ODZ2などの細胞増殖に関連した遺伝子が同定された.1症例につき1-6種類のクローンが同定でき,一部で定量を行ったところ,肝細胞5,000個あたり50-70個の同じ組み込みを持つ細胞集団がクローナルに存在した.我々のデータとデータベース上に登録されている組み込みHBVの情報からhTERT遺伝子,MLL遺伝子が複数の肝癌例に共通してみられるcommon integration siteであることが明らかになった.特にhTERTに関しては,human papillomavirusにおいても子宮頸癌組織でTERT近傍への組み込みが示されており,ウイルス種,癌種を超えて発癌に関与するメカニズムであることが示唆される.
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