研究課題
基盤研究(C)
腹膜中皮細胞の初代培養系の確立・遺伝子導入効率の検討7週令Wistar系雄性ラットを用い、腹膜中皮細胞の初代培養系を確立した。またβ-galactosidase発現adenovirus vector(Ad-LacZ)を用い、遺伝子導入効率について検討した。その結果、胃癌細胞株MKN45細胞に比較し、ラット腹膜中皮細胞へは約10.9倍と高い遺伝子導入を認めた。腹膜中皮細胞を標的としたInterleukin-10遺伝子導入によるマウス胃癌腹膜播種抑制5週令BALB/c系ヌードマウスに対し、MKN45細胞を腹腔内投与し胃癌腹膜播種モデルを作成した。その3日後にIL-10遺伝子組み換えadenovirus(Ad-mlL-10)、Ad-LacZ、コントロールとしてPBSの腹腔内投与を施行し、以下の結果を得た。1.adenovirus投与1、3週後の腹膜において、X-gal染色性がびまん性に認められ、腹膜中皮細胞は遺伝子導入標的として有用だと考えられた。2.1、3週後の腹腔洗浄液IL-10濃度は、それぞれ3431±1378、4665±2859pg/mlと上昇し、5、7週では98±176、117±104pg/mlと大幅に減少していた。すなわち少なくとも3週間は、腹腔内で高濃度のIL-10産生が維持されることが判明した。3.血清IL-10濃度は腹腔洗浄液の約1/13と低く、全身性の副作用出現も認められなかった。4.Ad-mlL-10群にて、腸間膜腫瘍結節数は、3、5週後ともにAd-LacZ群に比し有意に抑制されており、経時的な体重減少からの回復、生存期間の延長が認められた。その機序には、結節内血管新生抑制を介したものであることも判明した。以上より、腹膜中皮細胞を導入標的としたIL-10遺伝子療法は、腹腔内で高濃度のIL-10産生を維持し、胃癌腹膜播種を抑制する可能性が示唆された。上記の結果をH19年4月American Association for Cancer Research Annual Meetingですでに発表し、H19年5月Digestive Diseases Weeksの国際学会にて発表する予定である。
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