研究概要 |
ヒト肝癌切除例を対象としてカセットライゲーション法により、HBV-DNAの組み込みをスクリーニングを継続した。HBsAg陽性肝癌は計30結節にHBsAg陰性肝癌は40結節を解析し、HBV DNA組み込みを検出した結節はそれぞれ28結節、14結節であった。組み込まれたヒトゲノム配列は多結節例や再発例を含め全腫瘍において異なっていた。そのヒト染色体位置は1p,1q,2p,2q,3q,5p,6p,6q,7q,8p,8q,10p,11q,13q,14q,17q,19q,20qであり特定のターゲット遺伝子は認めなかった。3症例ではMLL2遺伝子座にHBV-DNAの組み込みを認めた。臨床経過中にHBsAg陰性化した例から発癌した1例ではhTERT遺伝子近傍にHBV DNAが組み込まれていた。HBsAg陰性例においてもHBV-DNAの組み込みが肝発癌の重要な要因の一つとなる症例が存在することが推測された。以上よりB型肝癌の中にはHBV-DNAのヒトゲノムへの組み込みが肝発癌の重要なステップとなっている腫瘍が存在していることを明らかにした。
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