研究課題/領域番号 |
16590625
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
小林 英司 自治医科大学, 医学部, 教授 (00245044)
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研究分担者 |
村上 孝 自治医科大学, 医学部, 講師 (00326852)
袴田 陽二 自治医科大学, 医学部, 講師 (00218380)
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キーワード | 慢性肝炎 / ウイスル性肝炎 / リンパ球ホーミング / FTY720 / KRP-203 |
研究概要 |
本年度は、最初にリンパ球のホーミング改変薬剤の肝臓内リンパ球への影響を探り、次いでConcanavaline A(ConA)肝炎においてリンパ球ホーミング改変薬剤の実験的肝障害に対する効果を検討した。これまでリンパ球ホーミング改変薬剤としてFTY720を使用したが、新たにKRP-203の効果についても検討を行なった。0.1%DTA-PBSによりマウスBALB/Cの肝臓を灌流、その液を回収し、FTY720およびKRP-203の投与の有無で肝臓内単核球の各成分の変化及び絶対数の変化をFACSにより解析した。その結果、KRP-203はFTY720と同程度に肝臓内と末梢血のリンパ球減少を誘導することができた。また、ConA投与により惹起されるT細胞を介した肝炎モデルでは、同量投与(1mg/kg)にもかかわらず、KRP-203はFTY720よりも優れた炎症抑制効果(24時間後のALT上昇の抑制)を示した(p<0.05)。KRP-203による肝炎軽減につき、用量依存的な試験を行なった結果、0.1mg/kg程度の投与で十分にALT上昇を抑制できることが示された(p=0.0289 vs.control)。またFACS解析では、ConAによる炎症状態でもやはりConA肝障害の成因のひとつとなるCD4陽性細胞はほぼ半分へと減少していることが明らかとなり、このCD4陽性細胞減少により肝障害が低減されたことが想定された。さらに定量的RT-PCR法により標的細胞のS1P1受容体の発現を解析した。KRP-203投与における標的リンパ球のS1P1受容体の発現量に差がないものの、肝臓への恒常的なリンパ球ホーミングに重要なケモカイン受容体CXCR4の発現が高いことが示された。実際、抗CXCR4抗体によるFACS解析では、KRP-203に暴露された肝CD4陽性リンパ球分布に変化を受けないことが明らかとなった。先に観察されたCXCR4の高発現はKRP-203によってホーミング修飾を受けないCXCR4+CD4+リンパ球の相対的な濃縮によって引き起こされていたことを示唆するものであり、KRP-203の標的となる細胞集団はCXCR4-CD4+リンパ球であることを示唆している。これらの結果は、リンパ球ホーミング改変薬がT細胞を介して惹起する肝傷害(ウイルス性および自己免疫性肝炎)を軽減する付加的な薬剤となりうることを示している。
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