研究概要 |
平成17年度はosteopontin promoter SNPsの機能解析を進めた。nt-155,-433の遺伝子型が何れもhomozygoteのDNAを実験に用いるが,日本人では3種類のhaplotype([nt-155,-443]:1型[deletion, T],2型[deletion, C],3型[G,T])が存在することが判明した。そこで,各haplotypeのDNAをnt 0〜-658まで増幅し,pGL3 Vectorにサブクローニングし,HepG2細胞ないしTHP細胞に導入した。HepG2細胞を用いた検討では,転写活性はhaplotype2型が1型に比して約1.5倍と高度であり,nt-443のalleleはCよりTにおける活性が高度であった。しかし,同細胞ではhaplotype3型の活性は1型の1/10以下と軽度であり,nt-155はdeletion mutationに比してalleleGの活性が低下していた。一方,THP1細胞ではhaplotype1型は2型よりも活性が高度であったが,3型はHepG2細胞の場合と同様に1型に比して軽度であった。従って,nt-443のSNPに関しては,細胞によってallele CとTの転写活性に差異が認められるが,nt-155のSNPは何れの細胞でもdeletion mutationがalleleGに比して活性は高度と考えられた。転写因子SRYはnt-155がdeletion, Gの何れの場合も結合するが,HFH-2はdeletionの場合にのみ結合し得る。従って,肝炎重症化にはnt-443のみならずnt-155のSNPも関与する可能性があり,SRYはY染色体でコードされることを考慮すると,後者のSNPの意義は性差も考慮して検討する必要があると考えられた。
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