研究概要 |
緑茶成分の慢性肝疾患への臨床応用に主眼をおいて計画を実行した。慢性肝疾患への緑茶成分の臨床的有用性を検討するために、ウイルス性慢性肝炎患者に対する緑茶カテキン高含有飲料の肝機能改善効果に関する無作為化比較治験、および緑茶カテキン高含有飲料の非アルコール性脂肪性肝疾患(Non-Alcoholic Fatty Liver Disease)改善効果に関する無作為化比較治験を施行した。3群(A群カテキン高含有飲料茶カテキン1080mg/day、B群カテキン低含有飲料茶カテキン200mg/day、C群カテキンほぼ無含有飲料)の中から無作為に割付したひとつの群の飲料をウイルス性慢性肝炎では24週、非アルコール性脂肪性肝疾患では12週継続投与を行った。評価として、体重、BMI、体脂肪率、肝機能の血液生化学データ(ALT, AST, LDH)、酸化ストレスのマーカーである尿中イソプラスタン値、肝CT値の測定を行い比較した。C型ウイルス性慢性肝炎患者に対する治験では各データとも各群間で有意な差は認められなかったが、非アルコール性脂肪性肝疾患患者に対する治験では、カテキン高含有飲料群において他の郡に比較し有意に肝機能データ(AST)、酸化ストレスマーカー、肝脂肪の軽減によると考えられる肝CT値の改善が認められた。以上より、緑茶成分カテキン高含有飲料により非アルコール性脂肪性肝疾患患者では肝脂肪沈着の軽減とASTに代表される肝臓の炎症指標の改善が認められ、カテキン高含有飲料の定期的な摂取が非アルコール性脂肪性肝疾患の治療に有用であることが示された。
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