研究概要 |
(1)不整脈の遺伝子異常 不整脈の高度先進医療の承認を受け遺伝性不整脈の検索を進めた。QT延長症候群では,60%以上に異常を認め、これは従来の異常発見率に比べ高値であった。またそのうち新規の異常が5例含まれており、遺伝子発現実験と電気生理学的手法によりチャネルの機能の解析を進めている。とりわけチャネル孔(Pore)のフィルター形成部位の変異をみとめ、遺伝子変異と機能の関連を荷電とアミノ酸の分子サイズを関連の研究に着手できた。 カテコラミン感受性多形性心室頻拍例で本邦初のリアノジン受容体遺伝子の異常例を確認した。これは従来の報告にない新規の遺伝子異常であった。さらに、1家系では4世代に渡る複数の突然死例が確認され、リアノジン受容体のダブル変異が認められた稀な例であった。 (2)チャネル蛋白の輸送異常 LQT1の構造解析:C末端の存在はtraffickingに必須であるが、我々の変異例はC末端が正常に拘わらずtrafficking異常をきたした。これはC末端の構造異常がtrafficking異常の原因であることを推測させる。Protein Data Bank, Homology modeling, Coiled-Coilセグメント予測法でLQT1の立体構造の予測を試みた。膜ドメイン部の構造予測には有効で、上記のフィルター部位の変異の確認ができたが、traffickingを阻害するC末端の構造予測には用いることができないことが判明した。 RNAiの遺伝子治療への応用:変異部分を含むoligomerを発現するplasmidを作成しLQT1と共発現させ、RNAiによるtraffickingの異常をきたす変異を有するチャネル蛋白の発現抑制を行うためプライマーを作成し遺伝子発現実験を行った。
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