研究課題
我々は、これまで自己骨髄細胞を用いて重症下肢虚血や心筋虚血患者を対象に血管再生療法を行い、その有効性と安全性を報告してきたが、本治療法では全身麻酔下で骨髄細胞を採取する必要があり侵襲が大きいことや、治療を行ってもその効果が十分ではない症例があることを経験してきた.そこで、治療の有効性を高め、かつ患者への侵襲の少ない新たな心血管再生療法の確立のため、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)およびマクロファージコロニー刺激因子(M-CSF)を用いた骨髄からの血管内皮前駆細胞(EPC)の動員促進による傷害血管への血管再生および修復作用について検討した.G-CSFは心筋細胞などでアポトーシスを抑制して心筋梗塞後の心筋保護に働いていることが報告されているが、マウス血管傷害モデルへのG-CSFの投与は、骨髄からのEPCの動員を有意に誘導し、傷害血管での再内皮化を促進して3週間後の新生内膜形成を抑制することが明らかとなった.しかし、GFPマウスやTie2/LacZマウスの骨髄細胞を用いた骨髄キメラマウスでの検討からは、再内皮化での骨髄由来EPCの関与はあまり多くなく、IL-6やIL-12p70といったサイトカインを介した傷害周囲の血管内皮細胞への作用の関与が示唆された.一方、最近、単球/マクロファージ由来のEPCが報告されていることから、末梢血中の単球/マクロファージを増加・活性化させるM-CSFについても検討を行った.M-CSF投与は末梢血EPC数に影響を与えず、骨髄からの末梢血中へのCXCR4陽性細胞の動員を誘導した.また、傷害血管ではCXCR4リガンドであるSDF-1の発現が亢進しており、SDF-1/CXCR4の相互作用を介して、傷害後早期の新生内膜形成を促進することが明らかとなった.
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