研究概要 |
難治性狭心症に対する顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)再生医療の短期効果(1ヵ月)の検討 薬物療法・PCI・CABGにても狭心症症状が消失しない80歳以下の難治性狭心症患者で冠動脈造影検査にて有意の狭搾があり、その支配還流域にTalium心筋シンチで虚血が確認できる15例を顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)投与群(8例)、コントロールとしての非投与群(7例)に分けて検討した。G-CSFは初回2mg/kgを皮下注射、毎日末梢血を測定し、白血球数が約30,000/ml前後で維持されるように、10日間にわたり一回2-6mg/kgのG-CSFを適宜皮下注射した。全例に塩酸チクロピジン200mg/日とアスピリン81mg/日の投与を全経過中継続した。その結果1.自覚症状は狭心症症状は全例改善した。2.治療全と治療後一ヶ月でなされたTalium心筋シンチでは%up-take, extent score, severity scoreの各々のrestと負荷の両者共にG-CSF群で有意に改善した。コントロール群では変化なかった。すなわちG-CSFは冠血流を増大する。3.治療前と1ヶ月後の冠動脈造影検査では冠動脈狭窄の亢進所見は一例にもなかった。また急性冠症候群、脳梗塞、脾臓、肝臓の腫大等重大な合併症の所見は一例にもみられなかった。来年度はさらに症例を増やすと共に、長期follow-upを行う予定である。
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