研究課題
基盤研究(C)
難治性狭心症に対する顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)再生医療の効果を以下のように検討した。薬物療法・PCI・CABGにても狭心症症状が消失しない80歳以下の難治性狭心症患者で冠動脈造影検査にて有意の狭搾があり、その支配還流域にTalium心筋シンチで虚血が確認できる22例を顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)投与群(11例)、コントロールとしての非投与群(11例)に分類した。G-CSFは初回2mg/kgを皮下注射、毎日末梢血を測定し、白血球数が約30,000/ml前後で維持されるように、10日間にわたり一回2-6mg/kgのG-CSFを適宜皮下注射した。全例に塩酸チクロピジン200mg/日とアスピリン81mg/日の投与を全経過中継続した。2群間に年齢、性別、リスクファクター、冠動脈病変数、治療薬物等の背景に有意差はなかった。その結果1.自覚症状は狭心症症状は全例改善した。2.治療前と治療後一ヶ月でなされたThallium心筋シンチでは%up-take,extent score,severity scoreの各々のrestと負荷の両者共にG-CSF群で有意に改善し、コントロール群では変化なかった。両群間で前値は同様であったが、G-CSF投与1ヵ月後の値は有意にG-CSF群で改善していた。3.抹消血中のCD-34陽性細胞数はコントロール群では変化なかったが、G-CSF投与群ではコントロールの約6倍上昇した。6ヶ月、1年の長期follow-upの結果、急性冠症候群、脳梗塞、脾臓、肝臓の腫大等重大な合併症の所見は一例にもみられなかった。治療前と1ヶ月後の冠動脈造影検査では冠動脈狭窄の亢進所見は一例もなかった。以上よりG-CSF少量・長期投与は難治性狭心症に対し、微少血管の増殖を介して冠血流を増大する安全にして有効な治療法になる可能性がある。
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