gp130の関連サイトカインのひとつであるleukemia inhibitory factor(LIF)刺激後3時間の培養心筋細胞よりRNAの調整、cDNAライブラリーの作成をする。gp130活性化後の細胞内におけるすべての遺伝子の発現量を一度にモニターするシステムとしてDNA microarray法を使用した。発現増強が認められた(2倍を陽性とした)遺伝子群は大きく2つに分けられた。()内の数字は発現増強度。A.gp130情報伝達関連分子:suppressor of cytokine signaling-3(10.67)、CCAAT enhancer-binding protein delta(10.39)、vav2(4.37)、n-myc(4.31)、junB(3.59)、lck(2.80)、Janus protein tyrosine kinase 2(2.51)、PI3K(2.33)、ERK5(2.21)。B.エネルギー代謝関連分子:Insulin-like growth factor II receptor(9.98)、hexokinase II(4.45)、adiponectin receptor(2.97)、peroxisome proliferators-activated receptor(PPAR) delta(2.65)、Sulfonylurea receptor 2B(2.30)。新たな心不全治療の標的として心筋細胞におけるエネルギー産生系の分子制御はひとつの大きな可能性である。そこで我々はPPAR deltaに注目した。アデノウイルスを用いたgain-of-functionおよびloss-of-function実験で、PPARdeltaが心筋における脂肪酸代謝の重要な酵素であるcarnitine palmitoyltransferase-1(CPT-1)を制御していることが観察された。
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