研究課題/領域番号 |
16590683
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
大津 欣也 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (20294051)
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研究分担者 |
山本 一博 大阪大学, 臨床医工学融合研究教育センター, 特任助教授 (90303966)
西田 和彦 大阪大学, 歯学研究科, 助手 (90362681)
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キーワード | 心不全 / 活性酸素種 / ASK1 / アポトーシス |
研究概要 |
薬剤誘導性活性型ASK1発現マウスを解析した。タモキシフェン投与後3日にて心臓にて特異的にASK1の強発現を認めた。ASKの発現に伴い下流のMAPKであるp38,JNKの活性化が認められた。心臓超音波法にて解析したところこのマウスは約二週間で心拡大を来たし心機能不全に陥った。組織学的検討では著明な繊維化が観察された。TUNEL法にてアポトーシスを検討したところ心筋細胞にアポトーシス細胞が認められた。したがってASK1を心臓に強発現するとアポトーシスを伴う心臓リモデリングを呈することがわかりノックアウトマウスの結果を裏つけることとなった。 さらにこのトランスゲニックマウス心よりmRNAを抽出し、cDNAチップを用いて対照群との遺伝子発現の差を検討した。様々な遺伝子発現の差が認められた。心臓リモデリングの際に変化することが報告されている遺伝子群も変化しておりこのトランスゲニックマウスが心不全のモデルとして使用できることが明らかとなった。 次にASK活性の抑制により心不全進展を防ぐことができるかどうか検討した。ASKのドミナントネガティブ体をアデノ随伴ベクターにクローニングし、経冠動脈的に自然発症心筋症ハムスター心臓に遺伝子導入した。コントロール群ではASK1の活性化が認められたが、実験群ではASK1の活性化が著明に抑制されていた。さらに実験群では心エコー法、ならびにカテーテル法を用いた心機能評価では心拡大、心機能不全進展が有意に抑制されていた。また組織学的検討により線維化ならびにTUNEL法にて評価したアポトーシスも抑制されていた。したがってASK1は心不全治療に対する創薬における分子標的であることが明らかとなった。
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