研究課題/領域番号 |
16590684
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
大石 充 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (50335345)
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研究分担者 |
山本 浩一 大阪大学, 医学系研究科, 日本学術振興会特別研究員(DC)
荻原 俊男 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (60107042)
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キーワード | ACE2 / TAC / 心不全 / 予後曲線 / ERK / JNK / AT1受容体拮抗薬 / 収縮障害 |
研究概要 |
ACE2はACEのhomologueとして発見されangiotensin Iをangiotensin(1-9)に、angiotensin IIをangiotensin(1-7)に変換する機能を有することが確認された。CrackowerらはACE2ノックアウトマウス(ACE2-mice ; Nature 2002;417(6891):822-8)が24週のACE2-/-(雌)もしくはACE2-/y(雄)において全周性の収縮低下を示し低酸素誘導性oncogeneの産生亢進が認められたことから無症候性心筋虚血による心不全であると考えられた。我々は追試を試みるも40週を超えても心エコー上の変化を来さなかったため、Aorta banding model(Transverse Aortic constriction ; TAC;左室肥大モデル)を作成した。ACE2-miceでは心重量及び肺重量の増加を認め、心エコーによる左室腔拡張と収縮障害を認めた。Kaplan Myer生存曲線の解析でも心不全志が有意に増加した。このモデルにおいて全身のangiotensin II濃度に有意差は認められなかったが心臓含有angiotensin II濃度は有意にACE2-miceで高値を示した。また組織学的にもACE2-miceは著明な心筋肥大と間質の線維化を認め、real-time PCR法によりBNP mRNAの高値も認められた。またimmunoblotting法により心筋におけるp42 ERK and p44 ERKおよびp46 JNK and p55 JNKを測定したところACE2-miceで有意に高値を示した。またACE2-miceのphysiologicalな変化はcandesartan(AT_1受容体拮抗薬)で一部抑制された。以上のことよりこのモデルによる心不全はAT_1受容体とERK-JNK系を介していることが示唆された。
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