研究概要 |
6-8週齢のオスC57/BL6マウスの心筋を0.2%コラゲナーゼ中で、30分間振盪し、単離した細胞を表面マーカーSCA-1を用いて磁気分離カラムMACSで分離し、10%FBS DMEM培地で培養した。このとき、われわれが自作した圧負荷装置を用いて、120mmHgの高圧を負荷した状態で2週間培養した。心筋特異的遺伝子、NKX2.5,GATA4,MEF2C,Cx43,ANP,TroponinI,MLC2V,αMHCなどの発現亢進を、高圧負荷培養細胞でのみ認め、常圧培養細胞では見られなかった。これらの変化は、MAPK阻害薬、Rho kinase阻害薬によっても制御されることがなくこれら以外の経路を介していることが示された。次に、舌組織から、SCA-1をマーカーとして幹細胞の分離を行い、成長因子の存在下で培養を行ったところ、1-2週間で拍動する細胞に分化した。これらの細胞の遺伝子発現を解析したところ、0週では見られなかったNKX2.5,CX43,ANPの発現を認め、心筋細胞への分化が確認された。拍動する細胞は同期して収縮し、細胞内カルシウムトランジエントも確認された。舌組織から心筋細胞に分化しうる幹細胞が存在することを発見し、今後その詳細な機序について、とくに細胞融合の関与について検討するとともに、細胞クローンの解析を行い、幹細胞のさらなる同定を行う。さらに、in vivoにおいて細胞移植を行った際の細胞の運命についてGFP mouseを用いて検討中である。
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