研究概要 |
平成17年度、我々はリアノジン受容体(RyR2)においてArrhythmogenic right ventricular cardiomyopathy (ARVC)、Catecholaminergic polymorphic ventricular tachycardia (CPVT)の突然変異集合領域であるN-terminalドメインとcentralドメインは互いに連関しチャネルを安定化しているが、不全心筋細胞ではRyR2内のドメイン連関障害を生じており、その結果RyR2は構造上不安定化しCa^<2+>漏出を生じ、細胞内Ca^<2+> transientの減衰およびcell shorteningの低下につながることを示した(Circulation 2005;111:3400-10)。また、心不全時には酸化ストレスが直接ドメイン連関障害を介してCa^<2+>漏出を誘導すること、またこのCa^<2+>漏出は抗酸化薬により是正可能であり、その結果、心不全を是正しうることも示した(Circulation, 2005;112:3633-3643)。また、RyR1の点突然変異部位(R2163C)に対応するRyR2内のドメインペプチドは不全心筋細胞のcell shortening, Ca^<2+> transientをほぼ正常化したことよりRyR2内にはチャネル安定化制御部位が内在されており、この部位は全く新しい心不全治療ターゲットとなりうる可能性が示された。 以上、本研究においてRyR2の特定領域(N-terminal, central)ドメイン連関はRyRチャネル開閉を制御するための重要な機序であり、先天的には突然変異、また後天的には過剰なβ受容体刺激や酸化ストレスに起因して、RyR2ドメイン連関障害(zipping→unzipping)を生じると、Ca^<2+>漏出が誘導され心不全や不整脈を発症することが判明した。
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