研究概要 |
本臨床研究のプロトコールについて、九州大学医学研究院倫理委員会の承認を得ることができた。また、血液から白血球を分離し、myosin-binding subunit(MBS), ezrin, radixin, moesin(ERM)の蛋白発現をウェスタンブロッティングによって評価することにより、白血球Rhoキナーゼ活性を測定するシステムを確立することができた。これまでに、心臓カテーテル検査の際にアセチルコリンの冠動脈内投与による冠攣縮誘発試験を行った症例のうち、本臨床研究への協力の同意が文書により取得できた11例について、アセチルコリンの冠動脈内投与時の狭心症状の出現、心電図における虚血性ST-T変化、心表面の大きな冠動脈の攣縮の有無、および冠動脈入口部および冠静脈洞からの採血によって評価する心筋乳酸産生の有無によって、(1)心表面の大きな冠動脈の攣縮による狭心症6例、(2)微小血管攣縮性狭心症3例、(3)胸痛症候群(上記(1)(2)が除外された群)2例に分類した。現時点では、まだ解析結果は得られていないが、Rhoキナーゼ活性化因子であるsphingosine-1-phosphate(S-1-P)の血中濃度、および白血球中のRhoキナーゼ活性の測定を行い、臨床背景などと併せて検討を行う予定である。今後は、症例数を増やし(目標症例数は60例で、上記(1)(2)(3)の各群20例ずつ)、来年度中には結果を得ることができると考えている。
|