研究課題
基盤研究(C)
アポ蛋白Jの血管形成術後再狭窄への作用を検討するために、アポ蛋白Jを血管に過剰発現するマウス(apoJ-Tg)とアポ蛋白Jを欠損するマウス(apoJ-KO)と野生型マウス(wild)の大腿動脈にポリエチレンカフを装着して血管傷害モデルを作成した。カフ装着4週後の新生内膜面積と中膜面積の比(I/M比)は、wild群25±3%、apoJ-Tg群33±3%、apoJ-KO群15±2%と、wild群に比べapoJ-Tg群では有意に高値を、apoJ-KO群では有意に低値を示した。さらに機序の検討を行い、抗活性型caspase-3抗体を用いた免疫組織化学染色では、3群間で染色性に差を認めなかったが、抗p53抗体、抗p21抗体および抗p27抗体を用いた免疫組織化学染色では、wildマウスに比べ、apoJ-KOマウスにおいて、新生内膜の平滑筋細胞の核への集積をより多く認めた。このことより、アポ蛋白J欠損は細胞周期停止により、新生内膜肥厚を抑制することが示唆された。また、高脂血症による動脈硬化易発症マウスであるアポ蛋白E欠損マウス(apoE-KO)とapoJ-KOを交配することにより、apoJ-KO/apoE-KOを作成し、動脈硬化形成におけるアポ蛋白Jの作用を検討した。その結果、apoJ-KO/apoE-KOの動脈硬化巣の面積はapoE-KOに比し有意に抑制されていた。さらに免疫組織化学染色では、apoE-KOにおいて動脈硬化巣の平滑筋細胞にNFκBとB-MYBともに発現を認めたが、apoJ-KO/apoE-KOではNFκBとB-MYBともに発現を認めなかった。我々は、アポ蛋白JはNFκBとB-MYBを介して動脈硬化促進作用を有することを初めて明らかにした。以上の結果より、アポ蛋白Jの発現を抑制することにより、血管形成術後再狭窄や動脈硬化を抑制でき、新しい治療法の可能性が示唆された。
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