I)In vitroにおける臍帯血由来細胞の心筋分化能の検討 臍帯血より単核細胞分画を比重遠心法により分離し、その後StemsepにてLineage(-)分画を採取した。 I-a)単独培養:採取細胞をDMEMにて培養し、3日後培養上清に分化誘導剤としてi)1%DMSO、ii)インスリン200nM、またはiii)5-azacitidine 1mMを加え、さらに2週間培養した。付着細胞は形態学的に様々な形に分化したが、自発収縮を行うものは認めなかった。さらに心筋特異蛋白であるactininの染色を行ったが、陽性細胞は認めなかった。 I-b)共培養:上記の方法で採取したLineage(-)単核球細胞を新生仔ラット培養心筋細胞と共培養を行った。2週間後、免疫細胞学的検討として、抗ヒト核抗体、及び抗actinin抗体を用いて二重染色を行った。ラット心筋細胞のactinin染色性に比べると抗原性は弱いものの、抗ヒト核抗体陽性細胞の中にactinin陽性細胞が散見され、ヒト臍帯血由来細胞の心筋分化の可能性が認められた。 II)In vivoにおける臍帯血由来細胞の心筋分化能の検討 上記と同様に得たLineage(-)単核球細胞3-600万cellを、NOD/SCIDマウスに心筋梗塞作成直後、虚血境界領域に心筋内注入を行った。2、4、6週間後に心臓を摘出し組織学的検討を行った。薄切組織標本を抗HLA-DR抗体及び、抗actinin抗体もしくは抗desmin抗体を用いて二重染色を行った。移植2週間後には、ヒト単核球細胞は注入部に多数存在し、その大半は浸潤細胞様であり、actinin、desmin陽性ヒト由来細胞は認めなかった。移植4週間後には、ヒト由来細胞は2週間モデルに比し減少したが虚血境界領域に存在し、HLA-DR、とdesmin(actinin)二重陽性細胞をごく少数認めた。移植6週間後の組織では、HLA-DR陽性細胞はさらに減少した。
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