研究課題
今回の実験の目的は、心筋細胞への分化能を有する骨髄由来や骨格筋芽細胞などの体性幹細胞をin vitroで効率良く心筋細胞に分化誘導できそして心筋組織にて効率よく定着できる方法を検討することであった。今回、in vitroの研究では、骨髄からの体性幹細胞を取り出しその心筋への分化に関して心筋分化に関与する転写因子を細胞内に導入することによる心筋細胞分化への効果も合わせて検討した。また、超音波照射と超音波造影剤の同時使用により心筋組織環境が変化して移植される細胞の生着率が向上することが判明した。In vivoの研究ではマウス、ラットを用いて細胞移植による心筋梗塞後心不全に対する改善効果をした。また今回の検討では、マウス、ラットに下肢の骨格筋芽細胞を用いて細胞移植試み、移植後3日から5日目にGATA4、Csx/Nkx25、MEF2などの心筋特異的な転写因子発現を見いだした。移植を希望するレシピエントの骨髄から得た細胞にて効率よく心筋細胞にできるとすれば、移植に伴う拒絶反応も,原則として生じないものと考えられる。骨髄由来の体性幹細胞から心筋細胞を大量に増殖し、心臓に移植することができればこれらの問題は解決できると我々は考えており超音波とその超音波造影剤を使用することにより、その細胞移植効果が上昇することにより超音波の治療への新たな展開が広がる可能性を探れたと考えている。ヒトを対象とした移植を想定した場合には、骨格筋芽細胞を用いて大量に心筋細胞が分化誘導できるのであれば、移植に対する倫理的なハードルは心臓移植よりはるかに低いものとなる。難治性心不全の治療の現状を考えると、ヒトにおける心筋細胞再生・新生の技術が今後大いに期待される。また、超音波とその超音波造影剤を使用することにより、その細胞移植効果が増幅する可能性があれば、その臨床応用は早まるものと思われる。今回の研究はこららの点において貢献できたと考えている。
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