研究課題/領域番号 |
16590714
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研究機関 | 杏林大学 |
研究代表者 |
池田 隆徳 杏林大学, 医学部, 助教授 (80256734)
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研究分担者 |
窪田 博 杏林大学, 医学部, 助教授 (00262006)
中沢 一雄 国立循環器病センター(研究所), 室長 (50198058)
難波 経豊 香川県立保険医療大学, 保険医療学部, 助教授 (70331866)
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キーワード | 心房細動 / リエントリー / コンピュータシミュレーション / マッピング解析 / 興奮伝播 / 心筋構造 |
研究概要 |
最終年にあたる平成17年度では、興奮伝播をさらに詳細に解析し、source-sink理論の心房細動の維持(慢性化)における機序の解釈に応用できるかを評価した。以下に、平成17年度に行われた本研究の実績の概要を示す。 (1)コンピュータシミュレーション Luo-Rudy(Phase2)モデルを用いて、複雑な左房の心筋構造を想定して壁の厚い領域と薄い領域が混在したモデルを作成し、持続性心房細動中の興奮波をスーパーコンピュータで解析したところ、興奮伝播のミアンダリング現象と分裂現象が観察され、細動中には新しい興奮波の発生が観察された。これらの現象は、spiral wave説の概念に矛盾するものではなく、source(興奮波のエネルギーの大きさ)とsink(興奮波が伝播することが可能な領域)のバランスによって成り立つとするsource-sink理論を裏付けるデータといえる。 (2)動物心筋を用いた高解析マッピング イヌ冠動脈灌流および表面灌流の実験モデルを作成し、特殊電極プラーク(サイズ4.6×5.4cm、電極数224)を用いて、アセチルコリン灌流下で誘発した持続性心房細動中の興奮伝播の観察を高性能のマッピングシステムを用いてdV/dt法で行った。その結果、コンピュータシミュレーション解析で得られたデータとほぼ同一の現象が観察された。Source-sink理論を用いて持続性心房細動の機序を説明することは可能と考えられた。Source-sink理論は、心房細動の発生のみならず、維持(慢性化)の機序の解釈にも応用できると考えられた。
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