研究課題/領域番号 |
16590719
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研究機関 | 日本医科大学 |
研究代表者 |
奥村 敏 日本医科大学, 医学部, 助手 (60233475)
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研究分担者 |
石川 義弘 横浜市立大学, 大学院・医学研究科, 教授 (40305470)
佐藤 直樹 日本医科大学, 医学部, 講師 (70291721)
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キーワード | 5型アデニル酸シクラーゼ / ノックアウトマウス / イソプロテレノール / アポトーシス / Desensitization / アデニル酸シクラーゼアッセイ |
研究概要 |
ベータアドレナリン受容体(β-AR)シグナルへの慢性カテコラミン刺激で誘導されるDesensitizationに5型アデニル酸シクラーゼ(AC5)がはたす役割 [背景]平成16年度において我々は5型AC(AC5)がβ-ARの刺激で誘導されるアポトーシスを促進させる作用があることを5型ACノックアウトマウス(AC5KO)を用いて明らかにした。このことはAC5が心不全の発症を促進させる作用があることを示唆している。Desensitizationは慢性カテコラミン刺激により誘導されるアポトーシス、心不全発症に対して心保護作用があることが知られている。平成17年度では慢性カテコラミン刺激後に誘導されるDesensitizationにAC5がはたす役割について検討を行った。 [方法]ISO(30mg/kg/day)を含むOsmotic mini-pumpをAC5KOならびにwild-type (WT)の皮下に植え込み、一週間後に超音波を用いて心機能(EF ; Ejection fraction)を測定した。その後心臓を摘出しMembrane preparationを行い膜成分を調整してACアッセイとAC5の特異的抗体を用いたWestern Blootting (WB)を行ない、AC5KOとWTについてISO投与群と非投与群で比較検討を行った。 [結果]Basalの心機能はWTとAC5KOのいずれも正常心機能であった(EF ; WT vs. AC5KO 71±0.7% vs. 71±0.3%)。ISO投与後では、ISO刺激に対する心機能の上昇の程度はAC5KOではWTに比べて有為に低下していた(EF ; WT vs. AC5KO 82±0.7% vs. 79±1.0%)。次に摘出心から膜成分を調整してAC assayを行ったところ、ISO投与群ではWT、AC5KOのいずれの場合も非投与群に比べAC活性の低下を認めたが、その程度は有為にAC5KOで大きかった。またWT群を用いてAC5の特異的抗体を用いたWBの結果からISO投与後のAC5の発現量は大変興味深いことにWTでは非投与群に比べて有為に亢進していた。以上の結果は慢性カテコラミン刺激後に生じるDesensitizationはWTに比べてAC5KOでより効果的に生じること、さらにはDesensitizationがβ-ARのみならずACレベルでも生じており、AC5はDesensitizationの形成に抑制的に作用していることを示唆している
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