研究概要 |
[背景]平成17年度に我々は心臓特異的発現を示す5型アデニル酸シクラーゼ(AC5)のノックアウトマウス(AC5-KO)にOsmotic mini-pumpを用いてイソプロテレノールの慢性投与(ISO;60mg/kg/day for 7 days)を行うと心臓特異的サブタイプAC6とAC5のタンパクレベルでの発現量はAC6に関しては正常型(WT)、AC5-KOとも減少していたが、AC5では上昇している所見を明らかにした。以上の結果から我々は以下の仮説をたてた。 [仮説]1)AC5はDesensitizationに対してACの他のサブタイプに比べて抵抗性を有するためAC5KOのほうがDesensitizationが効果的に生じる2)慢性カテコラミン刺激後のAC5の発現上昇はPosttranscriptionalレベルで行われている。 [方法]平成18年度は慢性カテコラミン刺激終了後ポンプを取り出しISOが体内から完全にウオッシュアウトされた翌日にISOを急速投与(0.13,0.27,0.40μg/kg/min for 5min)後に心エコーを用いて心機能(LVEF)を測定した。実験終了後に心臓を摘出してACのmRNAの発現量を検討したところ、我々の以前の報告と一致して(J Clin Invest 93;2224-9,1994)AC5,AC6ともに慢性カテコラミン刺激後では低下していた。 [結果]1)WTでは濃度依存性的にLVEFが増加したのに対して、AC5-KOではISOに対する反応性が低下しており生理学的にDesensitizationがWTよりもAC5-KOで効果的に生じていることが明らかになった。2)以上のメカニズムの主要な要因は慢性カテコラミン刺激後にAC5の発現量がタンパクレベルで上昇することであり、その発現調節はPosttranscriptional regulationであることが明らかになった。
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