研究課題/領域番号 |
16590720
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研究機関 | 金沢医科大学 |
研究代表者 |
松井 忍 金沢医科大学, 総合医学研究所, 教授 (00064600)
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研究分担者 |
勝田 省吾 金沢医科大学, 医学部, 教授 (40110613)
山口 宣夫 金沢医科大学, 医学部, 教授 (10106916)
早瀬 満 金沢医科大学, 医学部, 講師 (90064592)
浅地 孝能 金沢医科大学, 医学部, 講師 (00183137)
栗原 孝行 金沢医科大学, 総合医学研究所, 講師 (20064595)
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キーワード | 拡張型心筋症 / 心筋膜受容体 / β1受容体 / ムスカリン2受容体 / 自己抗体 / 吸着療法 |
研究概要 |
非選択的IgG吸着実験 抗心筋膜受容体を非選択的に吸着する目的で、IgG吸着体を用いて、β1ペプチド、M2ペプチドで免疫された家兎に対する吸着実験を行った。その結果、家兎血清中の抗β1受容体抗体、抗M2受容体抗体価は共に有意な低下をみた。また、吸着体、吸着装置、吸着実験共に安全性には問題はなかった。 自己抗体に対する選択的吸着体の開発 合成β1ペプチドにて免疫された家兎血清からアフィニテイ精製したIgGとβ1受容体第2細胞外ループに一致する種々の長さの合成ペプチドとの親和性をBIAcoreを用いて検討した。この結果を参考にして、材質・孔サイズの異なる3つの担体に等モルのβ1受容体の第2細胞外ループに一致する合成ペプチドを固定した吸着体を合成し、その吸着体:抗β1受容体抗体陽性患者血清=1:6の条件で吸着実験を行った。その結果、材質がセルロースで、孔のサイズが5x10daltons以下の担体で吸着効率は約70%前後であった。また、γ線による滅菌操作でもその効率は影響を受けなかった。 抗β心筋膜受容体抗体吸着療法の開発 我々が開発した上記の選択的吸着体を用い、抗β1抗体に対する吸着療法を検討した。8ヶ月間β1ペプチド免疫にて作成した実験的自己免疫性心筋症家兎を用い、選択的自己抗体吸着実験を施行した。その結果、一回の120分間の体外循環による吸着で抗β1抗体は約50%吸着された。吸着3ヶ月後には有意な心肥大の退縮と心内腔の縮小ならびに心機能の回復をみた。この結果は、抗心筋膜受容体抗体吸着療法が拡張型心筋症の治療法として有用であることを示唆した。
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