研究課題/領域番号 |
16590720
|
研究機関 | 金沢医科大学 |
研究代表者 |
松井 忍 金沢医科大学, 総合医学研究所, 教授 (00064600)
|
研究分担者 |
勝田 省吾 金沢医科大学, 医学部, 教授 (40110613)
山口 宣夫 金沢医科大学, 医学部, 教授 (10106916)
早瀬 満 金沢医科大学, 医学部, 講師 (90064592)
浅地 孝能 金沢医科大学, 医学部, 助教授 (00183137)
栗原 孝行 金沢医科大学, 総合医学研究所, 講師 (20064595)
|
キーワード | 拡張型心筋症 / 心筋膜受容体 / β1受容体 / ムスカリン2受容体 / 自己抗体 / 抗体吸着療法 / オートファジイー |
研究概要 |
1)抗心筋膜受容体吸着療法の開発 抗心筋膜受容体抗体を非選択的に吸着する目的で、IgG吸着体を用いて、β1ペプチド、M2ペプチドで免疫された家兎に対する吸着実験を行った。その結果、抗β1抗体、抗M2抗体共に有意な低下をみた。今回、β1受容体の第2細胞外ループに対する自己抗体の選択的吸着体を開発し、選択的抗β1抗体吸着療法の有効性を検討した。8ヶ月β1ペプチド免疫にて作成した実験的自己免疫性心筋症家兎を用い、一回の選択的自己抗体吸着療法を実施した。その結果、一回の120分間の体外循環による吸着で抗β1抗体は約40%吸着された。吸着3ヶ月後には有意な心肥大の退縮と心内径の縮少と心機能の回復をみた。この結果は抗心筋膜受容体抗体吸着療法が拡張型心筋症の治療法として有用であることを示唆した。 2)自己免疫機序による心筋障害の発症メカニズムの解明 -免疫家兎血清の初代培養ラット心筋細胞に対する細胞障害作用- β1受容体に対する自己免疫機序による心筋障害の発症メカニズムを解明する目的で、β1ペプチドで免疫された家兎血清の初代培養ラット心筋細胞に対する細胞障害作用を検討した。培養ラット新生児心筋細胞培養液中に免疫家兎血清を2日毎に添加することにより初期には心筋細胞拍動数増加が見られたが、数日後には逆に減少した。血清添加後数日後には光顕にて培養細胞質に多数の液胞が、電顕にて同様の2重膜や内部に細胞構造体を含んだ液胞が多数認められた。また、Oil Red-O染色にてこれらの培養心筋細胞質に多数の脂肪滴がみられた。一方、培養細胞数は免疫家兎血清添加数日後には減少し、かつ、死細胞の割合が増加した。この変化は、精製された抗β1抗体やイソプロテレノールでは誘発されなかった。以上の成績は抗β1抗体による細胞障害はオートファジィーによる可能性が高いこと、および、抗体自体が直接心筋細胞にはたらくためでないことが明らかとなった。
|