平成17年度は以下の研究を行ない結果を出した。 (研究1)神経調節性失神患者18名において、非観血的モニターであるTask force monitor(日本光電社製)を用いて、head-up tilt検査時の血行動態の変化並びに圧受容体反射を測定した。更に、そのうちの6名については、自宅で行なう起立調節訓練(Home orthostatic self-training)による治療効果時の血行動態ならびに圧受容体反射機能の変化について検討した。Head-up tilt検査陽性群(神経調節製失神患者)では、非陽性群に比し、明らかに圧受容体反射機能が更新していた。起立調節訓練でhead-up tilt検査院生になると、圧受容体反射機能は低下するが、これは更新していた圧受容体反射が正常化したものであることが判明した。Head-up tilt時に誘発された失神時の血行動態から、失神時には全末梢血管抵抗が低下しており、反射製副交感神経機能の活性化が起こっていることが確認された。 (研究2)重症起立性低血圧患者に対する心房高頻度ペーシングの効果を検討した。起立時の血圧低下に伴う心拍数増加反応のないpan-autonomic failureによる起立性低血圧に対し、高頻度心房ペーシングの有効性が報告されている。我々は、5名の患者で高頻度心房ペーシング(90-100ppm)が有効であることを確認した。臨床症状も劇的に改善し、失神発作も消失した。Task Force Monitorによる血行動態の解析では、心房高頻度ペーシングが心拍出量を増加させていることが新たに判明した。現在論文としてまとめている。
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