研究概要 |
今年度は1)IVRD(intravascular radiation detector)カテーテルの操作性を実験豚にてIN-VIVO実験すること、更には、2)犬実験で下肢と冠動脈における血栓性閉塞を念頭に置いた実験系を組んだ。これは、犬の冠動脈を露出して(左前下行枝)、部分的に何箇所か血管外皮のピンチングを行って、血栓を血管内皮上に作成するものである。血栓作成上、IVRDをIN-VIVOに使用し、操作性を確認した。ピンチの後で血管内部に血栓が出来上がり、血流の停滞ないし途絶が生じた時点で犬をsacrificeして、血管を剥離、その後、F18-FDG(ポジトロントレーサ)を血管内部に打ち込み、さらに血管標本を圧かけて緊張させながら血管内部をsalineで潅流し、その中をIVRDを通過させ、EX-VIVOの画像評価を行った。更には冠動脈摘出後切片をEX-VIVOでのIVRD画像評価をした後に、内皮に付着した血栓と血管の病理標本と対比検討するものである。 豚冠動脈での改良型新IVRDカテーテルの操作性は極めてよく、冠動脈の末梢病変に対応する臨床応用に十分供することのできるものであることを確信した。また上記の犬実験の、IN-VIVOでのIVRDの操作性は良く、冠動脈への挿入、通過性には問題は無かった。また剥離血管内においてのIVRD操作による検討では、血栓の付着部位におけるFDGの取り込みの高いこと、またそれをIVRDが確実に線源として捕らえていることを確認した。更にはIVRD下でのバックグラウンドとの対比も良く血栓診断における画像化にも適すると考えられた。この病理標本ではFDGのRIの集積の高い部分での血管内皮の障害と赤色血栓の存在を確認している。 また今回IVRDの下肢動脈の臨床に向けて、倫理委員会に申請の上、このRIトレーサの評価、RI検出光ファイバーカテーテルIVRDの操作性、検出能について野原が中心に下肢動脈造影とともに施行する予定であったが予定は遅れて施行は出来なかった。しかし,これらの実験結果から臨床への応用は極めて可能性が高いと考えられる。
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