1.プロトンポンプ阻害薬のライノウイルス感染抑制作用を調べた。プロトンポンプ阻害薬ランソプラゾールはヒト気管上皮細胞におけるライノウイルス培養液放出量および細胞内ライノウイルスRNA細胞内複製を減少させた。ライノウイルス感染受容体である細胞接着分子(ICAM-1)の気道上皮細胞における合成を抑制し、ライノウイルスRNAの細胞質内進入経路である酸性エンドゾームを減少させたことより、ランソプラゾールは感染受容体発現低下およびライノウイルスRNAの細胞質内進入抑制を介して、気道上皮における感染を抑制したと示唆された。また、ライノウイルス感染による、インターロイキン(IL)-1やIL-6などの炎症性サイトカイン放出が抑制され、ランソプラゾールの気道炎症抑制作用も明らかとなった。 2.エリスロマイシンを含むマクロライドのRespiratory Syncytial(RS)ウイルス感染抑制作用を検討した。エリスロマイシン、クラリスロマイシンおよびバフィロマイシンはヒト気管上皮細胞におけるRSウイルス培養液放出量を減少させた。また、感染受容体RhoAの阻害薬であるN-acetyl-S-geranylgeranyl-L-cysteine(AGGC)も同様にRSウイルス培養液放出量を減少させた。マクロライドのRhoA抑制を介したRSウイルス感染抑制作用が示唆された。また、RSウイルス感染による、IL-1やIL-6などの炎症性サイトカイン放出が抑制され、マクロライドの気道炎症抑制作用も明らかとなった。
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