研究概要 |
平成17年度は、トロンビンレセプター(PAR-1)ノックアウトとthrombin-activatable fibrinolysis inhibitor(TAFI)ノックアウトマウスを用いて慢性気管支喘息モデルを作製し、気道リモデリングにおけるPAR-1とTAFIの役割を検討した。 (1)慢性気管支喘息モデルの作製と気道リモデリングの解析:慢性モデルは卵白アルブミンで感作後卵白アルブミンを12週間隔日吸入させて作製した。Whole body plethysmographyで気道過敏性を測定し、気管支肺洗浄液中のTh2サイトカインや好酸球数を定量した。さらに組織中のアレルギー性炎症を評価し、これらを野生型マウスとノックアウトの間で比較検討した。特に慢性モデルにおける気道リモデリングについては肺組織中のhydroxyprolineを定量した。野生型マウスにくらべ、PAR-1とTAFIノックアウトマウスでは気道過敏性の程度および気管支肺洗浄液中のIL-5,IL-13の濃度は有意に高かった。また、PAR-1とTAFIノックアウトマウスでは肺組織中のhydroxyprolineは、野生型マウスにくらべ、有意に高値を示した。 (2)肺線維芽細胞におけるトロンビン/トロンビンレセプターの役割:マウスから分離培養した肺線維芽細胞のトロンビンレセプターをトロンビンで活性化し、細胞成長因子やサイトカイン、細胞外基質の産生などを比較検討した。その結果、トロンビンまたはトロンビンレセプターアゴニストは肺線維芽細胞を刺激してPDGFなどの成長因子を高めることが明らかになった。以上の結果よりトロンビンレセプターおよびTAFIは気道リモデリングの過程に重要な役割果たしていることが明らかになった。
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