研究課題/領域番号 |
16590751
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
高山 浩一 九州大学, 大学病院, 講師 (50274444)
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研究分担者 |
原田 大志 九州大学, 大学院・医学研究院, 助手 (10380619)
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キーワード | 遺伝子治療 / 癌治療 / アデノウィルス / 制限増殖型ウィルス / モザイク化ウィルス / 血管内皮増殖因子 / VEGF |
研究概要 |
研究実施計画書に従い、血清型5型および5/3型のVEGFプロモーターを使用した制限増殖型アデノウィルス(Ad5VEGFE1とAd5/3VEGFE1)をHEK293細胞に共感染させてモザイク化アデノウィルス(AdmsVEGFE1)を作成した。大量調整の後、定法に従いCsCl_2溶液による超遠心による濃縮と透析による精製を行った。回収したウィルス溶液の濃度は10^9〜10^<10>pfu/mLで収率は比較的良好であった。in vitroの検討は5型アデノウィルスに感受性の高い癌細胞株C33A、NCI-H157と3型アデノウィルスに感受性の高い癌細胞株SKOVを用いて実施した。これらの培養細胞株にAd5VEGFE1、Ad5/3VEGFE1、AdmsVEGFE1と陽性コントロールウィルス(Ad5CMVE1)、陰性コントロールウィルス(Ad5CMVLuci、非増殖型)を感染させ、その殺細胞効果をMTSアッセイおよびクリスタルバイオレットアッセイによって評価した。その結果、C33A、NCI-H157細胞株に対してはAd5VEGFE1とAdmsVEGFE1が同等の効果を示し、一方、SKOV細胞株に対してはAd5/3VEGFE1とAdmsVEGFE1が同等の効果を示した。さらに、上記の細胞株をヌードマウス皮下に移植して担癌モデルを作成し、各種ウィルスを腫瘍内に注入して腫瘍の増殖抑制効果を調べた。その結果、in vitroにおける結果と同様にin vivoでもAdmsVEGFE1が全ての細胞株で増殖抑制効果を示した。以上の結果より当初の予想通りモザイク化した制限増殖型アデノウィルスは広いスペクトラムの細胞種に効果を示し、遺伝子治療の効果が増強した。(720字)
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