研究概要 |
1.hnRNP B1とDNA依存性キナーゼ(DNA-PK)複合体との介合に関する解析 hnRNP B1特異的抗体を作成しhnRNP B1蛋白質と結合する蛋白質の解析を行い、肺がん細胞株においてDNA-PK複合体であるDNA-PK触媒サブユニット、Ku70およびKu86蛋白質が結合することを見出した。またhnRNP B1蛋白質はin vitroアッセイ系において濃度依存性にDNA-PKの活性を抑制した。またコメットアッセイを用いた解析では細胞内hnRNP B1量をsiRNAを用いて減少させることによりに放射線照射後のDNA修復能が促進された。以上の結果はhnRNP B1がDNA-PK複合体と結合しその活性を抑制することが示唆された。現在hnRNP B1,Ku70,Ku86蛋白質の各種欠失体を作成しそれぞれの結合における責任領域を解析中である。 2.血漿中hnRNP B1 mRNAの定量による肺がんの診断への応用の検討 肺がん患者及び健常者の血漿200μlからRNAの抽出を行いreal-time PCR法を用いてhnRNP B1 mRNAの定量法を作成した。hnRP B1 mRNA量の平均値は肺がん患者で健常者に比較し明らかに高値であった。肺がんの組織別にみると扁平上皮がんにおいて高い傾向があり、免疫組織染色の結果と相関した。今後症例数を増やして血漿hnRNP B1 mRNAの定量による肺がん患者の診断への応用について検討を進めている。
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