研究概要 |
1.hnRNP B1トランスジェニツクマウスにおける肺発癌作用の解析 昨年から引き続きSPC-hnRNP B1マウスにおける肺の組織変化および肺がん感受性の変化について解析を行った。本年度は系代も進み遺伝子レベルで純系のホモおよびヘテロ接合体マウスを得ることができ、肺がん感受性について検討を開始した。現在、生後12ヶ月のマウスを得ており自然発症肺腫瘍およびナフタレン誘導肺腫瘍の発生率、肺組織変化について解析中である。 2.hnRNP B1による遺伝子修復作用の抑制に関する解析 これまでhnRNP B1蛋白質とDNA-PK複合体であるDNA-PK触媒サブユニツト、Ku70およびKu86蛋白質が結合することを見出している。hnRNP B1蛋白質はin vitroアッセイ系において濃度依存性にDNA-PKの活性を抑制し、コメットアッセイを用いた解析ではhnRNP B1が放射線照射後のDNA修復能を抑制する可能性を示した。本年度はhnRNP B1,Ku70,Ku86蛋白質の各種欠失体を作成しhnRNP B1とKu70,Ku86との責任領域を明らかにした(論文投稿中)。 3.血漿中hnRNP B1 mRNAの定量による肺がんの診断への応用の検討 肺がん患者の血漿にはhnRNP B1 mRNAが高率に検出されることを明らかにした。現在、RNA直接増幅法により、血漿RNAの定量システムを作成中である。この方法により解析時間を大幅に短縮することが可能である。
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