研究課題
基盤研究(C)
1)緑膿菌のTwitching motility欠損株であるΔpilHIJKとその野生株であるPAO-1株を用いて緑膿菌性慢性気道感染症マウスモデルを作成し、その病原性を検討した。その結果、緑膿菌のTwitching motilityが宿主の免疫反応をTh2系にシフトすることでマウス慢性気道感染症モデルの病原性に深く関連していることが明らかとなった。2)次にこのマウスモデルを用いてマクロライド系抗菌薬およびカルボシステインの治療効果を解析した。このモデルにマクロライド系抗菌薬を12週間投与するとマウスの免疫反応はIFN-γ産生が優位となり、すなわちTh1系にシフトし、生存率が上昇した。また、in vitroにおける緑膿菌のTwitching motility能は14、15員環マクロライド系抗菌薬で抑制された。このマウスモデルでの反応はTwitching motility能欠損株ΔpilHIJK感染マウスモデルと同様であり、マクロライド系抗菌薬はTwitching motility能を抑制することで緑膿菌性慢性気道感染症に対して治療効果を発揮していることが明らかとなった。3)さらに本モデルにおいてカルボシステインを12週間投与すると、気管支内留置プラスチックチューブ上のバイオフィルム量は有意に減少した。In vitroでのチューブ上の緑膿菌バイオフィルム形成もカルボシステイン投与群では有意に抑制され、付着菌数も減少した。電子顕微鏡による観察においても菌体外粘液様物質の減少が確認された。これらのことからカルボシステインマクロライドに加えて、緑膿菌性慢性気道感染症の治療の1つとなる可能性が考えられた。
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