研究概要 |
1.MUC遺伝子発現の解析:通常の気道上皮細胞から杯細胞へのtransdifferentiationのメカニズムを明らかにするため,MUC遺伝子(MUC5B, MUC5AC)の発現に対するufCB粒子の影響を検討した.すなわち,16-HBE細胞をufCB粒子に曝露した後,上記遺伝子の発現をRT-PCR, Northern blotを用いて解析し,さらにその作用における細胞内シグナル伝達を明らかにするため,MUC5BおよびMUC5AC発現に対するEGFRチロシンリン酸化阻害薬,HB-EGF阻害薬,MEK阻害薬,核内転写因子(NF-κB)阻害薬,metalloprotease阻害薬,Dominant-negative Ras mutantなどの効果を検討した.その結果,ufCB粒子刺激により,MUC5AC遺伝子の発現のみが亢進し,その効果は上記の阻害薬のいずれによっても抑制された. 2.HB-EGFのprocessingとshedding:16-HBE細胞におけるHB-EGFの動態を検討するため,ufCB粒子で刺激した際のHB-EGF precursor(細胞膜結合型pro-HB-EGF)のprocessingをフローサイトメトリーで解析し,また可溶性HB-EGFの遊離をWestern blotにより検討した.その結果,上記刺激によりpro-HB-EGFは急激に減少し,それに伴いメディウム中への可溶性HB-EGFの遊離の増加が確認された.したがって,ufCB粒子は気道上皮細胞におけるHB-EGFのprocessingを惹起させることが明らかとなった.
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