研究課題/領域番号 |
16590764
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研究機関 | 東京薬科大学 |
研究代表者 |
高橋 勇二 東京薬科大学, 生命科学部, 教授 (20154875)
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研究分担者 |
高橋 滋 東京薬科大学, 生命科学部, 助教授 (10266900)
広瀬 秀徳 東京薬科大学, 生命科学部, 助手 (80398817)
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キーワード | 肺 / 神経内分泌細胞 / 細胞分化 / 肺障害 / 転写調節因子 |
研究概要 |
肺神経内分泌細胞(PNEC)は胎生中期に気道上皮に現れ、セロトニンおよび神経ペプチドなどを分泌し、上皮細胞の増殖と気道の分枝形成に重要な役割を果たしている。また、肺神経内分泌細胞は肺上皮の形成と維持に重要な機能を担っており、神経内分泌細胞への分化機構の解明は、正常な肺発達や肺疾患の病因の理解と治療法の開発に重要と考えられる。 我々は、ATF5を含むクロマチン構造転換因子の作用が、神経内分泌細胞への分化に重要な役割を果たすことを示し、その機能を解明するために、ATF5に対するモノクロナール抗体の作成を試みた。また、ATF5遺伝子発現の調節機構について検討を加えた。 ATF5は282アミノ酸からなる塩基性ロイシンジッパー(bZIP)型の転写調節因子であり、アミノ酸末端側にプロリンに富む転写活性化ドメイン、カルボキシル末端側にbZIPドメインが存在する。はじめに、ATF5の全長を抗原としてモノクロナール抗体を作製したところ、N末端側に対する抗体のみが単離された。そこで、次に、bZIPドメイン近傍を抗原としてモノクロナール抗体を作製した。作製された抗体は、ATF5と特異的に反応した。しかし、内在性の抗原を検出することは出来なかった。そこで、現在ATF5遺伝子を破壊したATF5ノックアウトマウスを用いて、内在性の抗原を検出可能なモノクロナール抗体の作製を試みている。 また、ATF5タンパク質は分解が早く、分解スピードの制御が機能発現と関連していることが予想された。そこで、ATF5の各種欠失変異体を作製し分解制御部を検索した結果、プロリンリッチドメインにタンパク分解制御領域が存在し、酸化的なストレスがATF5タンパク質の分解を抑制することが明らかとなった。従って、オゾン等の酸化的なガス暴露による神経内分泌細胞増殖に、酸化ストレスによるATF5タンパク質の安定化が関与することが示唆された。
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