呼吸器疾患とくに気管支喘息、COPDにおいてはガイドラインに沿った治療が推奨されており、吸入薬が治療の中心になっている。人口の高齢化にしたがって患者も高齢化しており、様々な効果、吸入方法を身につけることは困難である。聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院では横浜市旭区、瀬谷区の薬剤師会と協力してFAX通信を利用した吸入指導のシステムを構築してきた。今回従来のFAX通信の欠点、すなわちリアルタイムで通信が行えないことから患者が院外薬局にいったときに指示が間に合わないという欠点を補うために、インターネットを利用した患者指導箋の送付のシステムを構築した。 更に2005年4月から個人情報保護法案が施行されるために、患者のプライバシー保護に配慮して指導箋を送るシステムとした。病院診療ブースに設置された専用のコンピューターを用いて、登録された医師がすでに従来私用されてきたのと同じ服薬指導箋を登録し、これがサーバーのもとに送られる。ここで患者は個別のキーナンバーで登録されその番号が医師のもとに送られる。このナンバーを患者が薬局に持参する処方箋に記載し、処方をおこなう薬局のみで患者の情報が開けるようにした。なお患者にはあらかじめ薬局において指導が行われるために情報が送られることについて同意書を得るようにした。 患者が処方箋を持参した薬局では患者のキーナンバーに従ってサーバーにアクセスし医師が書いた指導箋をみてそれに従って指導を行う。指導後所定の書式の返信用紙に記入しサーバーを介して医師に返信を行う。 平成16年度はこのシステムの構築を行い、環境の設定をおこなった。医師の診療ブースから専用の回線による通信の設定、サーバーの環境設定、薬局側のコンピューター出力の設定を行い、作動状況を確認するテストを行った。また、医師、調剤薬局薬剤師、地域の連携医師とともに連絡用紙、報告用紙の再検討をした。
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