研究概要 |
特発性肺線維症(IPF)とCOPD(肺気腫)はしばしば合併している.当院のIPF(IPF alone)と肺気腫の合併症例(Combined pulmonary fibrosis and emphysema,CPFE)についてその呼吸機能の特徴についてIPF単独例との比較において検討した.以下の結果を得た。 1.初診時の呼吸機能〜CPFEはIPF aloneに比して,1)VC(mL),%VC,TLC(mL)有意に高値であった。2)FEV1.0%有意に低値であった。COPDとしての閉塞性性障害基準(FEV1.0%70%未満)は満たさず。3)%DLco有意に低値であった。 2.呼吸機能の年間推移〜CPFEはIPF aloneに比して,1)ΔVC(mL),Δ%VC,ΔTLC(mL),Δ%TLC(年間の各パラメーターの低下)有意に抑制された。2)ΔFEV1.0%有意に低下した。3)Δ%DLco有意差なし。但しCPFEのDLcoの低下が抑えられる傾向があった。 3.予後〜(Kaplan-Meier法)CPFEはIPF aloneに比して,1)全症例の予後を比較すると有意に生存期間が長かった。2)呼吸機能を1年以上追跡できた症例群間で比較すると生存率に有意差なし。 4.結論 CPFEはIPF aloneに比して肺活量の年間低下が有意に抑えられ,DLcoの年間低下も抑えられる傾向にあり,IPF aloneとは異なる呼吸機能の推移が見られた。生命予後もよいことが明らかとなり,IPF aloneとは異なる治療戦略を構築する必要があると思われた。
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