研究概要 |
Calcitonine gene related peptide(CGRP)の機能を解明するため、以下の検討を行った。 1)CGRPを強制発現させたラット肺組織における肺胞上皮細胞増殖に関する検討 CGRPを組み込んだアデノウィルスベクター(力価1x10^9)をラットに気管内注入し、3日後に解剖を行った。肺組織は4%パラホルムアルデヒドによる定圧固定後、肺組織標本を作成した。細胞増殖能を評価するためPCNAの免疫染色を行った。HE染色では肺胞上皮細胞の増殖が認められた。但し、リンパ球浸潤も併せて認められた。PCNA染色では、特に肺胞上皮細胞に陽性細胞が認められた。よって動物試験においてもCGRPによる肺胞上皮細胞増殖作用を有することが認められた。 2)CGRPを強制発現した肺胞上皮細胞におけるアポトーシス抑制作用を検討 A549細胞を、1%FCSを含むRPMI溶液にて5×10^5 cellsに調整し、一晩、CO2 incubatorにて培養した。細胞にlacZ, CGRPのアデノウイルスベクターを投与し,それぞれにブレオマイシン100μg/mlまたはクリソタイル50μg/cm^2を曝露した。24時間後TUNEL染色にてアポトーシス細胞数をカウント、およびそのシグナル伝達としてJNK/SAPKのリン酸化活性を検討した。A549細胞にクリソタイル、ブレオマイシンを曝露し、Tunel染色にてブレオマイシンは250ug/mlをピークに、クリソタイルも50ug/mlをピークに、アポトーシスを誘導した。ブレオマイシン、クリソタイルにアデノウィルスに組み込んだCGRPを加えると10^7で両者のアポトーシス誘導を抑制した。さらに、JUNKの活性を観察したが、CGRPによる活性の低下は認められなかった。よって、CGRPは、JUNK以外のシグナル伝達経路でアポトーシスを抑制することが示唆された。
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