研究概要 |
A.研究目的 糖尿病性腎症は、新規透析導入患者の原疾患として増加の一途をたどっている.早期治療を行えば腎症は可逆的と考えられ、腎症の早期診断へのニーズは高い.早期診断法マーカーとして、マルチプレキシンコラーゲンの一つ、XV型コラーゲンの有用性を検討することを目的とした. 平成16年度は,(1)新規特異抗体の確立,(2)新規抗体を用いた尿中マルチプレキシンの測定方法の確立,(3)糖尿病性腎症腎組織でのマルチプレキシン沈着の免疫組織学的解析を目指した. B.方法 ◆マルチプレキシンコラーゲン特異抗体の確立 すでに確立したXV型コラーゲン特異的ラット単クローン抗体に加え,より反応性の高い単クローン抗体とウサギ抗体を確立する. ◆サンドイッチELISA法による尿中XV型コラーゲン測定法の開発 既存のXV型コラーゲン特異的ラット単クローン抗体に加えて新しい単クローン抗体およびウサギ抗体を用いて確立する. ◆糖尿病性腎症におけるマルチプレキシンコラーゲンの免疫組織学的解析 腎組織内マルチプレキシンを免疫組織学的に解析する,すなわち,XV型コラーゲン特異抗体(Texas Red標識)と,もうひとつのマルチプレキシンコラーゲンであるXVIII型フラーゲン特異抗体(FITC標識)よる二重蛍光抗体法でおこなう. C.結果とD.結論 1回目に作成した(1)XV型コラーゲン特異的ウサギ抗体に非特異反応が認められたため,抗原を代えて再度抗体作製を進めている。それに連れて,(2)サンドイッチELISA法による尿中XV型コラーゲン測定法の開発も遅れている. (3)糖尿病性腎症におけるマルチプレキシンコラーゲンの免疫組織学的解析は順調に進んだ。約20例の早期糖尿病性腎症腎組織内のマルチプレキシン解析し,糖尿病の経過年数,腎症の程度などとの比較検討を進めている.この結果は来年度の日本腎臓病学会で報告する.
|