研究概要 |
実験的腹膜硬化症の線維化抑制の試み;RNAi (RNA干渉)を用いた検討 〓実験的腹膜硬化症の作成と腹膜の形態的解析 ・miceの腹腔内にクロールヘキシジンを投与して腹膜に線維化を惹起し、1,2,3,5週で腹膜を採取した。腹膜の形態はHE染色を行い腹膜肥厚度を、また免疫組織学的にheat shock protein 47 (HSP47)、α-smooth muscle actin (SMA)、III型コラーゲン(col III)、マクロファージ(F4/80)、TGF-βを観察した。 【結果】腹膜中皮下組織は時間と共に肥厚し、HSP47を始めSMA,TGF-βの発現増強とマクロファージの浸潤を認めた。 〓HSP47 siRNAの作成とその効果の解析 ・HSP47に対するsiRNAをデザインした。コントロールとしてはGFP (green fluorescence protein)に対するsiRNAを作成した。 ・HSP47 siRNAを培養したマウス線維芽細胞にtransfectionし、HSP47タンパクの発現の程度をWestern blotにて調べた。 【結果】HSP47 siRNAは特異的にHSP47の発現を抑制した。 〓In vivoにおけるHSP47 siRNAの効果 ・クロールヘキシジンを腹腔内に投与する際に、HSP47およびGFPに対するsiRNAを同時に投与し、その抑制効果を調べた。 【結果】HSP47 siRNA投与群は、GFP siRNA投与群に比べ、有意に腹膜肥厚を抑制した。免疫染色では、HSP47,SMA,TGF-βの発現とマクロファージ浸潤が抑えられていた。 【結論】HSP47 siRNAの投与により実験的腹膜硬化症進展抑制が認められた。今後、その抑制効果の増強および腹膜再生についても検討を加えていく予定である。
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