研究課題
基盤研究(C)
当科で腎生検を行った症例174例の腎組織に対して抗CYR61抗体で免疫染色を行った。RPGN 19症例中6例(30%)で抗CYR61染色に対して陽性反応が得られた。うち4例(21.1%)は半月体に染色された。他の慢性糸球体腎炎症例155例の腎生検組織では25例(16.1%)に抗CYR61抗体で陽性所見が認められたが、糸球体は染色されず尿細管の染色を認めるのみであった。半月体に陽性所見を得られた症例の血清クレアチニン値は7.2mg/dlで半月体が染色されなかった症例15例の血清クレアチニン値は4.3mg/dlであったが、有意差は得られなかった。尿細管が抗CYR61抗体で陽性に染色される症例は陰性例に比べて間質病変がより強い症例と思われたが、臨床データとの相関ははっきりしなかった。免疫染色における交差反応を考慮して腎生検の凍結標本からRNAを抽出してRTを行ってcDNAを作成した。このcDNAをテンプレートにした定性的なPCRでは35サイクルの増幅によってCYR61の遺伝子産物は検出可能であった。このcDNAを利用してリアルタイムPCRにて定量的な検討を行った。その結果遺伝子産物は検出できるが、疾患の活動性との相関は得られなかった。この理由としては症例数が少ないことと、腎生検に際しての凍結標本作成時に凍結に至るまでの時間が標本によって異なりRNAの分解を生じたためと思われた。急速進行性糸球体腎炎での患者尿からのCYR61の検出については、検出感度が不十分であった。RIAか他の感度上昇法の選択、検体の選択を改善する必要があった。動物での半月体形成は不安定であり、また抗CYR-61抗体が上手く染色性を示さなかったため免疫染色によるCYR-61の検出はできなかった。この研究によってCYR61は実際のヒト急速進行性糸球体腎炎において半月体に検出されており、疾患への関与が認められた。
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