研究概要 |
【臨床研究】 当院に入院した微小変化群および巣状糸球体硬化症によるネフローゼ症候群患者(n=7)の尿中、血中ウログアニリン排計量をRIA法により経時的に測定した。尿中ナトリウム排雅量によりナトリウム貯留期、利尿期に分け、尿中ウログアニリン排泄量(尿中ウログアニリン/Cre pmol/mmol)を比較検討したところ、ナトリウム貯留期よりも利尿期で有意に高値であった(ナトリウム貯留期vs.利尿期:8.10±1.62vs.26.78±5.84;P<0.01,pairedt-test)。ナトリウム貯留期と利尿期の血漿ウログアニリン濃度には有意差を認めなかった(37.1土3.1vs.40.4±2.5fmol/ml, n.s.)。ネフローゼ症候群患者の尿中ウログアニリン排雅量はナトリウム利尿期に一致して増加していたが、血漿ウログアニリン濃度はナトリウム貯留期と利尿期で有意な差はみられなかったことより、腎局所で産生されたウログアニリンがナトリウム利尿に関与している可能性が考えられた。 【動物実験】 ラットに対してpuromycin aminonucleotide(PAN)を投与して作成した、実験的微小変化型ネフローゼ症候群において、ウログアニリン投与により有意なナトリウム利尿が起こることがこれまでに明らかとなった。そこで、ネフローゼ症候群におけるウログアニリンの作用機序について検討した。しかし、これまで報告されているレセプター(GC-C)やチャネル(Na/K ATPaseフサブユニット、CLC-K2)の発現をPCRにて評価したが、今回の研究では明らかな変化はみられなかった。今後、さらなる検討が必要である。
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