研究概要 |
尿毒症病態下における異所性臓器石灰化と石灰化に対する副甲状腺機能異常、また副甲状腺機能制御の影響をin vivoで解明することを目的に、今年度は5/6腎摘で作成した腎不全ラットを高リン、低カルシウム食下に飼育し、高度の2次性副甲状腺機能亢進症モデル作成し、本モデルにおける、1)心臓、大動脈などの異所性石灰化、2)血管平滑筋細胞石灰化部位での血管平滑筋から骨芽細胞様細胞分化について検討した。その結果、2次性副甲状腺機能亢進症ラットでは副甲状腺ホルモンの著明な増加に加え、高リン、低カルシウム血症、血清カルシウム・リン積の著増がみられた。von Kossa染色で評価した血管壁の石灰化は高度の2次性副甲状腺機能亢進症群においてのみ認められ、とくに腹部大動脈に石灰化は顕著であった。本石灰化部位一致してcore binding factor-alpha 1 (Cbfa1), osteopontin (OPN), sodium-dependent phosphate cotransporter (Pit-1)などの遺伝子発現が認められ、ラット動脈血管平滑筋細胞の石灰化と骨芽細胞様細胞への形質転換がin vivoの2次性副甲状腺機能亢進症モデルで確認された。これらの形質転換は、2次性副甲状腺機能亢進症の程度と血清カルシウム・リンの変化に伴い高度となった。本モデルに活性型ビタミンDないしはcalcimimeticsを投与し、2次性副甲状腺機能亢進症の程度を制御した際の、これらの血管石灰化と骨芽細胞様細胞への形質転換の変化を解析することで、2次性副甲状腺機能亢進症の動脈石灰化、さらには動脈硬化発生・進行への関与を解明する予定である。
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