メガリンは、近位尿細管上皮刷子縁に局在するエンドサイトーシス受容体である。近位尿細管におけるリン酸再吸収の調節にメガリン依存性エンドサイトーシスが関与しているかどうかを検討するため、メガリンのリガンドのひとつで、他のリガンドの結合を阻害するReceptor associated Protein (RAP)の可溶型Hisタグ融合蛋白(His-RAP)のリコンビナント蛋白をマウスに投与することにより、メガリン機能の撹乱を試みた。可溶型RAP(3.5 mg/dose)をマウスの腹腔内に投与したところ、免疫組織化学により1時間後の時点で腎臓の近位尿細管上皮細胞にRAPが取り込まれていることが確認され、また、メガリン依存性エンドサイトーシスの亢進が示唆された。このことから、腹腔内に投与された可溶型RAPが、いったん循環血液中に入り、糸球体でろ過された後、刷子縁に局在するメガリンとの相互作用を介して細胞内に取り込まれ、その際、メガリン依存性エンドサイトーシスを亢進させたと考えられた。さらに、RAP投与後にII型Na/Pi共輸送担体が細胞内へと内在化している像が確認された。可溶型RAPまたはvehicleを3回、4時間毎に連続投与し、前後で採血、採尿を行ったところ、RAP投与により尿中へのビタミンD結合蛋白の漏出増加、血中25位水酸化ビタミンD値の低下を認め、メガリン機能の撹乱が確認された。さらに、尿中へのリン酸排泄が増加していた。これらの結果から、リコンビナントRAPを用いてメガリン機能を撹乱することにより、II型Na/Pi共輸送担体の細胞内局在が変化し、リン酸排泄量が変化したと考えられた。
|