研究概要 |
【目的】SAAがCSF-HDLのリモデリングを起こすのか、そしてそれがアミロイドβの代謝に影響を与える可能性があるのか検討する。 【方法】赤血球の混入が認められない細胞数正常の髄液をプールして用いた。髄液にrecombinant SAAを添加し、HDL亜分画の変化を非変性二次元電気泳動で解析した。 【結果および考察】正常髄液では、apoAI,apoAII,apoEが同位置に大型なα-HDLとして認められた。SAAを添加するとapoEは20mg/L、apoAIは50mg/L、apoAIIは200mg/Lの濃度で、それぞれのアポ蛋白を含む小粒子HDLとしてα-HDLより解離した。アミロイドβをコントロール髄液と37℃、3時間incubationすると、CSF-HDLとの結合が認められた。髄液とSAA(20mg/L)の混合溶液とアミロイドβをincubationすると、α-HDLからapoEを含む小粒子HDLが解離したにも関わらず、アミロイドβは大型のα-HDLとのみ結合した。CSF-HDLのapoEは、中枢神経系に発現しているリポ蛋白受容体によりCSFから除去されると考えられる。したがって、SAAはこの系によるアミロイドβの異化を低下させる可能性が示唆された。 【結論】SAAはCSF-HDLから、apoEを含む小粒子を解離させる。このリモデリングが、リポ蛋白受容体を介するアミロイドβの異化を障害する可能性が示された。
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