研究概要 |
1.家族性Alzheimer病関連プレセニリン1(PS1)変異体を安定発現する細胞株の作成 家族性Alzheimer病を引き起こすPS1変異としてL11きP,ins156,G183V,ins352変異を発現プラスミドベクターに導入し,安定発現株を3種類の培養細胞(PS1欠損線維芽細胞,HEK293細胞,C6神経膠芽腫由来細胞)を作成した.これらの細胞から界面活性剤によりタンパク質を溶解し,PS1特異抗体を用いた免疫ブロットにてPS1の発現を確認した.これらの変異体のうち,ins156では全長型PS1から断片化への切断が抑制されていた. 2.PS1変異体発現細胞におけるアミロイド代謝の検討 PS1変異体発現細胞にAPPを共発現することによりβ-amyloid(Aβ)の産生を検討した.ins156変異体においては,既報の変異体と同様にAβ42/40の比率の上昇を認めたが,それ以外の変異体(L113P,G183V,ins352)ではAβ42/40の比率の上昇は野生型と変化なく,総Aβ分泌量はむしろ低下していた. 3.転写活性をモニターするレポーターアッセイ系の樹立 APPはγ-secretase切断によりC末端断片(γ-CTF)を産生し,その断片の核移行により転写を調節している可能性がある.その中で特にCREB依存性の転写活性を解析する目的で,γ-CTFにGal4-CREBのレポーター配列を付加したコンストラクトを作成した.現在,この融合タンパクを発現を免疫ブロットで,その核移行を含め検討している.
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