研究課題/領域番号 |
16590818
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
吉川 弘明 金沢大学, 保健管理センター, 助教授 (10272981)
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研究分担者 |
岩佐 和夫 金沢大学, 医学部附属病院, 講師 (10345613)
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キーワード | 重症筋無力症 / アセチルコリン受容体 / 細胞内カルシウム / リアノジン受容体 / IP3受容体 / FK506 / 横紋筋 / 平滑筋 |
研究概要 |
重症筋無力症myasthenia gravis(MG)は神経筋接合部のシナプス後膜上のアセチルコリン受容体acetylcholine receptor(AChR)に対する自己抗体により引き起こされる自己免疫疾患である。その診断には、AChR抗体の測定が有用であるが、TE671/RDより抽出したAChRを抗原としたradioimmunoasseyが用いられている。TE671/RDは横紋筋肉腫から得られたセルラインである。この研究では、アセチルコリン(ACh)添加により引き起こされたTE671/RDの細胞内カルシウム濃度について、リアノジン受容体ならびにイノシトール三リン酸受容体に注目して調べた。細胞内カルシウム濃度の変化は、muscarinic type 3(m3)AChRを介することがわかった。Phosphatidylinositol-specific phospholipase C阻害薬(U73122)ならびにIP_3R阻害薬(2-APB)はAChによる細胞内カルシウム上昇を阻害した。このことは、イノシトール三リン酸経路が細胞内カルシウムの上昇に関与していることを示すものである。リアノジンとFK506はAChによる細胞内カルシウム濃度上昇を増強したが、リアノジン受容体阻害薬(ruthenium red)は、これを抑制した。これらの結果は、RyRとFK506 binding protein 12kDa(FKBP12)複合体が細胞内カルシウム濃度変化に関係していることを示すとともに、TE671/RDが平滑筋ならびに横紋筋、両者の性質を持っていることを示すものである。以上より、TE671/RDは、特殊な性質を持った培養細胞であり、今後、リアノジン受容体ならびにイノシトール三リン酸受容体の研究には有用なモデルになると考えられた。
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